マーク・フィッシャー評論選集
文学/映画/ドラマ編
私たちの生をむしばむ、政治的、心理的、対外的、対内的な抑圧に立ち向かい、聡明で、常に燃え続け、獰猛な激しさをもって今日における「失われた未来」を調査し、知性を磨く努力を怠らなかった思想家、マーク・フィッシャー。
21世紀でもっとも重要な政治的テクストであり、すべての人にとっての必読書『資本主義リアリズム』を上梓し、1979年以降の資本主義が独自の「リアリズム」様式を押しつけ、それが左派リベラルにおいても内面化されていることを暴きながらも、社会主義という、いまとなっては「リアリズム」を喪失した大義を捨てずに思考し続けた批評家。
スラヴォイ・ジジェク、ラッセル・ブランド、オーウェン・ジョーンズらが絶賛し、マーク・スチュアートやベリアルをはじめ多くのミュージシャンに刺激を与えた思想家。
ポスト左翼がブレグジットに直面した際に、旧来の左翼の惰性を非難し「右傾化」することが「大人」だとされたときも、マーク・フィッシャーはその惰性をどうしたら脱却できるのかと向き合い、安易な「右傾化」に同調することもなかった。
アカデミックになることなく、つねにポピュラー・ミュージックや映画、大衆文学を出発点としながら大衆迎合主義に陥ることも回避しつづけてきた知性の、彼の人気を決定づけた原点にしてすべて──それが彼の伝説のブログ『K-PUNK』だった。
その『K-PUNK』から精選されたコレクションが全三冊に分けられ、ついに翻訳刊行される。まずはその第一弾は「文学/映画/ドラマ編」。序文はサイモン・レイノルズ。
幸いなことに、こうして私たちは彼の文章に立ち返ることができるし、その文章のなかには、情熱的で、たとえどんなに悲観的になろうとも、未来を諦めてはいないマーク・フィッシャーがつねにいるのだ。
本書に登場する作家や作品など:
カフカ、W・S・バロウズ、J・G・バラード、スティーヴン・キング、マーガレット・アトウッド、パトリシア・ハイスミス、デイヴィッド・ピース、トニ・モリスン、カズオ・イシグロ、リチャード・マシスン、クリストファー・ノーラン、デヴィッド・クローネンバーグ、『スター・ウォーズ』、『シャイニング』、『ブレイキング・バッド』、『トイ・ストーリー』、『ウォーリー』、『バットマン』、『ターミネーター』、『アバター』、『ハンガー・ゲーム』、ブライアン・フェリー、ジョイ・ディヴィジョン、ほか多数
マーク・フィッシャーの『K-PUNK』ブログは一世代の必読書だった。──『ガーディアン』
誰にとっても理にかなった新しい世界を発明するための不可欠なガイドブックである。──ホリー・ハーンドン(電子音楽家)
フィッシャーは、この時代のもっとも信頼できるナヴィゲーターである。──デイヴィッド・ピース
今世紀、これほど興味深い英国人作家は現れていない。──『アイリッシュ・タイムズ』
21世紀の文化批評の書き方の入門書。──『LA レビュー・オブ・ブックス』
当代の文化は、公衆的なるものの概念および知識人の姿、その双方を排除してしまった。かつて──物理的/文化的の両面で──公共の場だったものは、いまや遺棄されたか、広告の植民地と化している。阿呆な反知性主義が支配し、それに声援を送る多国籍企業に雇われた私立高学歴の売文家は、退屈した読者に対し、あなたがたはわざわざ相互受動的な朦朧状態から目覚める必要はありません、と安心させる。後期資本主義の文化労働者によって内面化され、広められた非公式の検閲は、スターリン主義のプロパガンダ長官すら人々に強制できたらどんなに素晴らしいだろうと夢見るほかない、陳腐な順応主義を生み出す。(本書より)
(出版元より)
出版社:Pヴァイン
判型:四六判
ページ数:416